どちらを選べばいい?電子カルテのオンプレミス型とクラウド型の違いとは

電子カルテは、従来型のオンプレミスの電子カルテのほかに、近年、クラウド型の電子カルテが普及しつつあります。オンプレミス型ではサーバーの機器を自院内で保有し、クラウド型は、メーカーが管理するサーバーに、インターネットで接続して利用します。

新規開業のクリニックを中心に、クラウド型の存在感が高まっていますが、オンプレミス型とクラウド型は何が違うのか、それぞれどのようなメリットがあるか、よくわからない、という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、それぞれのメリット、デメリットをお伝えします。

オンプレミス型の特徴

オンプレミス型は、システムの設備をクリニック内で保有し、内部でネットワークが完結する電子カルテシステムです。データサーバ、パソコン、プリンタ―、無停電電源装置などを原則一式購入する必要があります。

オンプレミス型のメリット

オンプレミス型では、自院内のコンピュータ間をローカルネットワークで接続し、院内のみで完結したシステムになっています。ですので、インターネットの不具合やトラブルの影響を受けることはなく、安定感や速さに優れています。

また、院内だけでの運用ですので、自院の診療に応じたカスタマイズ性にも優れています。他のクリニックと異なる診療プロセスを行っている、あまりない診療を行っているなどで、既存のカルテをそのまま使用すると使い勝手が悪いために、従来の診療に合わせて電子カルテの機能を変更することができる可能性があります。

さらに、オンプレミスは歴史が長く、導入実績を積み上げてきたために、安定性、医療現場のベストプラクティスを蓄積した完成度の点では、オンプレミス型に一日の長があるといえます。一方、クラウド型は比較的歴史が浅いことのほか、ベンチャー企業の製品であることが多く、ローンチ後、市場の反応をみながら、改良したり、軌道修正をしたりしながら完成度を高めていく、という進め方を採用することがあります。品質に対する考え方が両者で異なっているのですが、製品をするユーザーはその点を理解している必要があります。

オンプレミス型のデメリット

オンプレミス型はクラウド型と比較し、端末やネットワークを新たに導入する必要があるため、費用、保守・運用費用が高額になりがちです。また、導入後およそ5~6年を過ぎたのち買い替えの必要が発生します。

さらに、データのバックアップやシステムのバージョンアップは、メーカーから届くDVD等を使って都度行うことが必要です。

クラウド型の特徴

クラウドとはクラウドコンピューティングのことで、サービス提供者がインターネットを通じてサービスを提供し、ユーザーは必要な時に手元にあるPCやスマホでそのサービスを利用します。ユーザーは自身でサーバーを用意する必要はなく、端末にインストールするソフトウェアも保有しません。ソフトウェアが担っていたデータ処理はサービス提供者がもつサーバーが実行します。クラウドコンピューティング技術は2000年代半ばに確立しましたが、今では多くの企業や個人が利用しています。

電子カルテの分野においても、今まで院内にサーバーを置く、オンプレミス型が主流でしたが、最近では各社がクラウド型の電子カルテを販売するようになってきました。

クラウド型のメリット

オンプレミス型と比べ、クラウド型はオンプレミス型のように院内にサーバー機器等を設置しネットワーク環境を構築する必要がないために、価格が安く、低コストで導入が可能です。毎月の運用費・保守費もオンプレミス型と比べると安価です。

ハードのメンテナンス、システムのバージョンアップ、カルテデータのバックアップ等の運用上の管理の手間が少ないこともメリットです。近年地震や水害が多発し、自然災害による医療機関の被害を目にします。院内のサーバーにデータがあると、被災時のデータの消失破損が心配ですが、クラウド型のカルテデータはインターネットを通して外部サーバーに保存されているため、自院が災害にあってもデータを失うことはありません。

インターネットの環境があればどこでも電子カルテデータにアクセスができます。訪問診療など院外でカルテを入力・確認したいときには便利です。(オンプレミス型でもVPN接続で外から利用することが可能な場合があります。)

その他、サーバーや専用パソコンの設置場所が不要で、院内の省スペース化が図れることもメリットです。

クラウド型のデメリット

インターネットを接続して使用するため、インターネットの速度の影響を受けるほか、トラブルがあると停止することがあります。回線障害のリスクは小さくないことを認識し、オフライン時の診療対応も想定しておきましょう。

また、利用できる機能やメニューが決められていることが多く、電子カルテをカスタマイズすること自由度は高くありません。自院に絶対必要な機能をはっきりとさせ、製品を比較検討するようにしましょう。

まとめ

オンプレミス型とクラウド型のメリット、デメリットをそれぞれ上げました。ご覧いただいたとおり、特徴は一長一短で、どちらが優れているとはいえません。なお、電子カルテにはこのほか、ハイブリッド型も存在します。

どちらを導入するか悩んだとき、実現したい「機能」と「費用」を比較考量して検討することになります。
機能とは、まず一つ目に、検査や画像診断等の機器との連携可能範囲が上げられます。オンプレミス型のほうが、連携実績が多くなります。自院の診療で必要な医療機器を洗い上げ、連携が可能かどうか確認してください。二つ目は、カスタマイズ性です。自院の従来の業務運用に電子カルテの運用を合わせる必要があるかどうか検討しましょう。
費用は上述のとおり、クラウド型のほうが安価で利用できます。

ですので、電子カルテに求める機能が多い場合は、オンプレミス型が有望になり、一方、新規開院で資金に余裕がなく、業務運用をシステムに合わせられる、ということであれば、クラウド型が選定対象になるでしょう。

なお、電子カルテの導入にあたっては、アフターフォローの体制なども製品によって大きく異なりますので、しっかり確認しましょう。

電子カルテ製品の一覧は、下記からご覧いただけます。

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