2024.07.10
セミセルフレジと自動精算機の違いは?クリニックでの選定ポイントも解説
患者さんが精算の一部、または全部を自身で行い、会計待ち時間の短縮やスタッフの負担軽減が図れるセミセルフレジや自動精算機。効率化のために導入したいと考えているものの「セルフレジと自動精算機のどちらを導入すべきか分からない」とお悩みのクリニックも多いのではないでしょうか。
本記事では、セミセルフレジと自動精算機の違いや支払いに対する患者さんのニーズの変化、クリニックで会計システムを選定するときのポイントについて詳しく解説します。会計システムの詳細を理解し、クリニックに最適なシステムを導入しましょう。
セミセルフレジと自動精算機は何が違う?
セミセルフレジと自動精算機の最も大きな違いは、精算の手続きにスタッフを介すか否かです。
セミセルフレジでは、現金の入金は患者さん自身が行いますが、呼び出しやシステムの操作等を行うのはスタッフです。一方で、自動精算機は患者さんだけで一連の精算手続きが完了します。
セミセルフレジと自動精算機のそれぞれの特徴については、後段で詳しく解説します。
支払いに関する患者さんのニーズの変化
医療業界においても「セルフ会計」のニーズが高まっています。その理由は、患者さんの待ち時間短縮と医療事務の負担軽減のためです。
時代の変化とともに、医療においても診察や会計の待ち時間にストレスを感じる患者さんが増えました。診療費計算ができあがった患者さんを、一人ずつスタッフが呼び出して精算をする、昔ながらの会計方法は効率的ではありません。
また、新型コロナウイルスの流行やキャッシュレス決済の拡大によって、現金の受け渡しによる会計ニーズは減少傾向にあります。
加えて、医療事務の人手不足も深刻なため、なるべくスタッフの負担を減らせるセミセルフレジや自動精算機といった「セルフ会計」の注目が高まっているのです。
クリニックにおける会計システムの種類
医療機関における会計システムの種類は、大きく分けて以下のとおりです。
- セミセルフレジ
- 自動精算機
- キャッシュレス決済専用端末
それぞれどのような特徴があるのか、順番に解説します。
1.セミセルフレジ
セミセルフレジとは、対面形式でスタッフが患者さんに精算を案内し、現金の投入のみを患者さん自身が行うシステムです。
現金の手渡しがないため、受取金額やお釣りの渡し間違いといった会計ミスが削減できます。それにより、レジ締めでも誤差が出ないため、1日の最後に医療事務が行うレジ締め作業も負担軽減に。
一方で、受付での患者対応時間の短縮については、効果を感じにくい可能性があります。患者さんがセルフでできるのはあくまで現金の投入のみです。したがって、セミセルフレジを導入しても、基本的には対面業務があることを理解しておく必要があります。
2.自動精算機
自動精算機とは、医療事務による診療費計算が終了したら患者さん自身が機械を操作し、精算完了までスタッフを介在することなく行うシステムです。
セミセルフレジと同様に現金の手渡しはないため、会計ミスの削減のメリットは自動精算機でも得られます。加えて、対面での会計業務が減るため、業務の自動化を図れるほか、感染対策にもつながります。
とはいえ、自動精算機を導入しても、対面での対応がゼロになるわけではありません。処方箋や同意書の控えといった患者さんに渡すものがある場合は、スタッフによる呼び出し対応が必須です。
また、エラーによって自動精算機が停止してしまうと、会計がストップしてしまうリスクも。紙幣づまりや領収書印刷のプリンターエラーといった軽微なものであればスタッフによる復旧も可能ですが、場合によっては業者に確認を依頼しなければならないケースも。万が一、自動精算機が停止したときの対策を考えておく必要があります。
3.キャッシュレス決済専用端末
現金のやりとりは対人で行い、キャッシュレス決済を行うときのみ専用端末を使用する会計方法です。キャッシュレス決済専用端末は、セミセルフレジや自動精算機と連携させたり、支払い方法をキャッシュレス決済のみに限定したりする場合に用いられます。
近年は、医療業界においてもキャッシュレス決済の需要が高まっています。その理由は、現金を持ち歩く機会の減少に加えて、「費用が事前に予測できない」といった医療の特性があるためです。キャッシュレス決済専用端末を導入することで、患者満足度アップにつながるでしょう。
ただし、キャッシュレス決済は手数料がかかります。公正取引委員会の調査によると、加盟店手数料は3%台が最も多く、次いで2%台が多い結果となりました(※)。また、スタッフは端末の使い方などを新たに覚える必要があります。
キャッシュレス決済端末の導入は、メリットとデメリットをふまえて自院に合っているかどうかを検討する必要があるでしょう。
※公正取引委員会|クレジットカードの取引に関する実態調査報告書
クリニックでの会計システム導入パターン
クリニックでの会計システムは、大きく分けて次のようなパターンがあります。
- セミセルフレジ(現金のみ)
- 自動精算機(現金のみ)
- セミセルフレジ(現金+キャッシュレス)
- 自動精算機(現金+キャッシュレス)
- キャッシュレスのみ
セミセルフレジや自動精算機は現金のほか、キャッシュレス決済専用端末と連携してキャッシュレス決済に対応することも可能です。セミセルフレジとキャッシュレス専用端末を連携すれば、現金だけでなくキャッシュレス決済も患者さん自身で行えます。
また、中には支払い方法をキャッシュレス決済のみとしているクリニックもあります。加えて、最近はオンライン決済の注目度も高いです。専用アプリや専用Webサイトにクレジットカードや銀行口座情報などを登録することで、患者さんは診察が終了したら会計を待たずに帰宅できます。
クリニックの特徴や患者層などから、会計システムの組み合わせを考えましょう。
クリニックの会計システムを選定するときの注意点
セミセルフレジや自動精算機といっても、メーカーや機能が異なる多数の種類があります。資料のみでシステムを比較して導入すると「想像と違った」といった事態が起こる可能性があるため、注意が必要です。資料上で大まかな機能の違いは見えづらいですが、操作性や決済種別の管理方法といった部分は、実際に説明を受けなければ分からないポイントもあります。
加えて、セミセルフレジや自動精算機を導入しても「受付スタッフの会計作業をゼロにはできない」ことも理解しておかなければなりません。また、導入したもののスタッフが使いこなせなかったり、患者さんが操作に慣れるまでに時間がかかるケースもあります。
会計システムの導入は、決して安くないコストがかかるため、クリニックの状況を分析して最適な決済システムを選定する必要があるのです。
会計システム選定のポイント(Q&A)
Q1:セミセルフと自動精算機、結局どっちが合うの?
最近はセミセルフレジが選ばれるケースが増えている傾向があります。自動精算機と比較して安価なことや、コンビニや飲食店でも普及しているスタイルのため、患者さんが慣れているといった理由が大きいでしょう。
Q2:自動精算機はどのようなクリニックに選ばれるの?
自動精算機は患者数が多かったり、受付と会計の導線を分けたい診療科などで効果を発揮するケースがあります。
例として、リハビリ患者の多い整形外科などがあげられるでしょう。
Q3:診療科によって会計システムの相性は異なる?
診療科によって会計システムの相性は異なります。
例えば、眼科や皮膚科など物販品が多くある場合はセミセルフレジが効果的です。
また、立地や患者さんの年齢層なども関わるため、クリニックの特徴を分析し、適した会計スタイルを見つける必要があります。
会計システムの選定に悩んだら専門家に相談を!
患者さんの待ち時間短縮やスタッフの負担軽減のため、医療業界においても「セルフ会計」のニーズが高まっています。加えて、キャッシュレス決済需要の高まりもあり、最近はオンライン決済も関心を集めています。
ただし、セミセルフレジや自動精算機にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、「導入すれば必ず効果を得られる」とは限りません。効果を得るためには、クリニックの状況や特徴を分析し、最適なシステムを検討する必要があります。
とはいえ、「自分のクリニックに最も合っている会計システムがどれか分からない」という場合も多いでしょう。そんなときは、目利き医ノ助にご相談いただければ、多数ある会計システムの中から、クリニックに最も合ったシステムをご一緒に比較検討させていただきます。
ご相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。