すみだブレインハートクリニック

院長 玄 哲樹先生

小児科
脳神経外科
循環器科
内科

実現したい医療から逆算してシステムとツールを選ぶ。患者さんとスタッフのために効率化を追求した成果。

外来患者数/日 平均50人

スタッフ数 8人

導入製品

  • 電子カルテ:メドレー「CLINICS」
  • Web予約システム:メドレー「CLINICS」(オプション)
  • Web 問診システム:メドレー「CLINICS」(オプション)
  • セミセルフレジ:スマレジ「スマレジ for Medical」(Stores決済、PayPay併用)

課題

  • システムの根幹である電子カルテを選ぶうえで妥協したくなかった
  • 自院に適した会計システムやセミセルフレジの選び方がわからなかった
  • 開業前から患者さんの待ち時間短縮やスタッフの業務削減を模索していた

効果

  • 開業前から患者さんの待ち時間短縮やスタッフの業務削減を模索していた
  • 目利き医ノ助のサポートでセミセルフレジを導入。複数の決済方法を採用して会計作業が大幅に効率化できた
  • 保険証読み取りスキャナやワイヤレスインカムなどでスタッフ間のコミュニケーションの省力化に成功

2022年開院の新しいクリニックですね、開業を決めた経緯を教えてください

玄院長:循環器内科が専門ですが、医師になって4年目くらいでは「開業したい」とずっと思っていました。当時、茨城県の病院で夜勤をしていると、周りの医療機関が不足していて毎晩、心臓病の患者さんが救急車で運び込まれる状況を目にしていたんです。治療してある程度回復する場合も多いものの「そもそもこのような患者さんが生まれにくい状況を目指すべきなのでは」と開業を考えるようになりました。

東京スカイツリーに近い場所でファミリー層から高齢者も多い場所だそうですね。ここを選んだ理由は?

玄院長:近隣の病院に勤務していたこと、家族がここで住み慣れていたことが大きかったと思います。高齢の患者さんも、子どもも多い土地柄であらゆる人に必要な医療を届けられるのではないかと考えました。この墨田区周辺で探していたところ、ちょうどよい物件が見つかったという経緯です。開業場所は出身地や勤務地のそばで選ぶ先生が多いですが、土地勘がある、他の医療機関の概況を知っている、スタッフも知っている方が応募してくれやすいなどのメリットを感じます。

開業前のITの選定についてお聞きします。場所や内装が決まり、次にやるべきことはどうお考えでしたか?

玄院長:最初は(電子)カルテからだと思います。カルテが決まらないと、何も決められない感覚があります。まず「オンプレかクラウドか」という議論がありますよね。私の答えは「以前ほどは機能差を感じなかったので、初期費用の安いクラウドにする」でした。いろんな医院をお手伝いしていましたので、そこで端末を操作した感覚も大事にしていました。開業から年数の経っている医院では、割合としてオンプレ型が多いように思います。したがってデモは、クラウド型を中心に試しました。

「CLINICS」を選んだ決め手は何だったのでしょうか?

玄院長:画面の見やすさですね。正確に言うと、私にとってはとても見やすい画面だと感じられました。また病名の入力、テンプレートやセットを作れる点も大きかったです。今は他社の製品もバージョンアップしているそうですが、選んだ当時はCLINICSの優位な点だったんです。予約システムやオンライン診療もCLINICSに付属していて、1つのシステムで利用できるのも魅力に感じましたね。(取材時点ではオンライン診療は実施していない)また、そもそもクラウドのおかげでカルテが自宅で確認できるのも診察の効率化に役立っていると感じます。

逆に大変だったことは開業前に、自分でセットを多く登録しておかなければならなかったことです。CLINICSでは、内科向けの基本中の基本というセットしか登録されていなかったので、血液検査も1項目ずつすべて手作業で登録しました。7割ほどは開業前に準備しておき、開業後に実際に来院する患者さんの疾患をもとに追加する感じです。診察時間の短縮、ミスオーダーの防止のためにも不可欠なので大変でしたが、逆に今となれば自分好みの内容にカスタマイズできましたね。

予約システムも順調に機能されているようですね。開院以降、受付後に20分待たせた患者さんはいないとお聞きしました。

玄院長:はい。当院の予約システムは、30分単位で限られた人数だけが予約できる時間帯予約です。患者さんが受付を済ませると受付時間が電子カルテでも確認できるので、まず診察順ができるだけ前後しないようには気をつけています。これは予約システムと電子カルテが連携していることの大きなメリットです。効率向上のために、スマホと連携させて通話可能なワイヤレスインカム「BONX」というシステムを活用しています。距離の制限がなくWi-Fiが安定していればかなり便利にスタッフ間のコミュニケーションが取れます。1日何十回と声をかけるために部屋を行き来しなくてよいのは大きいですね。

保険証の読み取りにスキャナを導入したのも細かなこだわりですね。患者さんが受付時に所定の場所に保険証を置いていただくと、保険証のデータが読み込まれます。スタッフが受け取って、お返ししてという業務が省略できますし、返却忘れの防止にもつながります。その点で、スタッフからも「やりやすい」という声があがっていますね。

会計についてはどのように決められましたか?

玄院長:もともとクレジットカード払いには対応させたい、セミセルフレジを導入しようかとは考えていて、機器やシステムの選定にあたっては目利き医ノ助のアドバイスを受けることにしました。スペースの問題から大型機械を入れるのは抵抗がありましたし、もちろん値段も高くなります。ただ当院はそれほど多くの患者さんが一度にお会計するイメージではなく、受付や会計でスタッフがサポートする前提を考えていました。

勧められたStores決済を導入してカードだけでなく交通系ICカードの支払いに対応できるようにしました。さらに発熱外来で患者さんが急増したことを受けて、PayPayも導入したんです。そのおかげで会計の効率性は劇的にあがりましたね。PayPayはQRコード設置も短期間でできましたし、今では欠かせません。手数料がかかるのは事実ですが、十分に必要経費として捉えられると思います。保険診療の場合には、窓口で患者さんが支払うのも2~3割なので、生じる手数料も多くないと考えています。

開業して半年、ここまでをどのように評価されていますか?

玄院長:率直に言って、最初は「患者さんが来てくれるだろうか、継続できるだろうか」と不安でした。日々、無我夢中でしたが、スタッフのがんばりのおかげもあって軌道に乗ってきたかなと、ようやく感じています。予想していた以上に、高血圧で困っているとか、服薬以外でどんなことに気をつけたらいいかなど社会のニーズを感じています。大きな病院では、専門的な心臓の治療が必要な方がたくさん来られていて、もちろんその治療も重要なことです。しかし「健康診断で高血圧を指摘された」「高血圧対策の薬を飲み始めるくらい」の方を早めに診て予防することが、私と当院の使命なのだと強く感じるところです。

先生の名刺には「認知症サポート医」とも書かれていますね。

玄院長:開業の1年ほど前にとった資格で、もの忘れ外来も、私が今後注力したい領域の1つです。ただ、まだ当院の取り組みも、外来の存在も高齢者の方にはあまり知られていないようです。おそらく高齢者の方は、長年お世話になっているかかりつけ医もあるのでしょう。また、予備軍を含めて認知症の方というのは全国で600万人いると言われていますが医療機関にかかっているのはその一部です。

少しでも認知症対策について知っていただくため、私と看護師で病気や対策についてお話しする市民講座を2か月に一度、行うようになりました。開催のお知らせのチラシを自作して、周辺の住宅に配布も行っているんです。また院内では、さまざまな疾患について紹介するための新聞も掲示していて、自分でも原稿を書いています。地道な取り組みですが、地元の健康を守るお役に立ちたいと思って活動を続けていきます。

クリニック名 すみだブレインハートクリニック
院長 玄 哲樹先生
所在地 東京都墨田区横川1-1-10すみだパークプレイスⅡ1階
医院紹介 クリニックがあるのは東京スカイツリーと隅田川を望む、下町情緒と近代的な商業施設が織り交ざる地域。身だしなみを整えて患者さんをお迎えしたいという思いから、院長は常にスーツとネクタイを着用して診療にあたっている。
作成日 2023年7月