性感染症内科ペアライフクリニック

院長 永井 良先生 事務長 矢野 雅也様

産婦人科
泌尿器科
内科

受診ハードルを下げるためのプライバシー確保と待ち時間短縮を追求した環境

外来患者数/日 非公表

スタッフ数 5名

導入製品

  • 電子カルテ:エムスリーデジカル
  • 予約システム:カルー「アポクル予約」
  • 問診システム:カルー「アポクル問診」

課題

  • 患者さんが匿名状態でも、取り違えなどが起こらない診療システムを構築したい
  • 検査結果と電子カルテが連携する相性のよさを追求したかった
  • 膨大な数のシステムから自力だけで選定するのは開業までの日数的に不可能

効果

  • 氏名入力を任意とし、カルテ番号だけで問診・予約できるアポクルを導入
  • 自由診療の電子カルテにこだわらず、検査結果が自動的に紐づくシステムを構築できた
  • 目利き医ノ助が条件に合うシステムを一次選定。労力を大幅に削減しながら希望にあったシステムを選定できた

まず開業の経緯を教えていただけますか。

永井院長:私は腎臓内科を専門に研鑽を積み、腎臓専門医、総合内科専門医を取得してきました。ただ大型の病院に勤務していると、症状が進行してから受診される患者さんと多く接します。
それだけ治療も困難で、痛みが大きくなるケースも増えてしまう。あらゆる病気にとって早期発見・早期治療が大切だと感じていました。

そんな折に、性感染症の分野では、自覚症状がないと検査を受ける方が少ないこと、恥ずかしさや不安から受診をためらう方が多いという話を聞き、専門クリニックの開業を決意しました。受診から診断、そして治療へとつなげていくような役割を担えればと思っています。

開業の準備でご苦労もあったのではありませんか。

永井院長:苦労というよりも専門でないことの心配はありました。ただクリニックの場所、設備もろもろは矢野をはじめとする事務スタッフと完全に分担をしたおかげで私は主に診療面の準備に専念できました。
「早期受診によるスクリーニング」をクリニックの使命と考えると、まず大切なのは検査方法をしっかり整えること。そのため、治療方法とあわせて基礎から改めて見直しました。また専門医からのアドバイスや学会からの学びを得て最新の知見を深めることができたと思っています。

 

矢野事務長:今、先生が言われたように、場所選びから内装、動線設計などは、私たち事務方の役割です。繁華街に近いことなど、集患しやすいエリアを選んだつもりです。単なる利便性だけでなく、ターゲットとなる若年層の方が通いやすい雰囲気も大切にしたかったので、内装やWebサイトのデザインなどからも、できるだけ受診のハードルを下げたいという軸で、準備を進めてきました。

 

永井院長:やはり性感染症に対する知識や理解は、まだまだ社会全体で低いと感じます。正しい知識がなく不安を抱えながらも相談できない状況が、昨今の患者数の拡大にもつながっていると思います。相談しても、適切な医療機関にたどり着けないケースも少なくないんです。治療を受ければ、基本的に完治することの多い病気なので、とにかく「相談しやすい」を追求しました。

1人用の完全個室だけが並ぶ待合室は特徴的ですね。

矢野事務長:はい。小型の待合室が10室、並んでいます。受付で受け取った用紙に書かれた部屋番号にお入りいただき、患者さん同士が顔を合わせないように配慮して、お一人ずつタイミングをずらして検査、診察へと進んでいただいています。

 

永井院長:各個室にタブレットが用意されていて「アポクル」で呼び出した番号が確認できるようになっているんです。自分の部屋の番号が表示されたら、待合室から移動していただくという流れですね。診察前に行う問診もアポクルで行います。電子カルテと連携しているので、診察室にいる私は先に問診内容に目を通せる。だから診察もスムーズです。

診察後に会計を待つための個室が別にあるのですか。

矢野事務長:診察後の会計待ちスペースにも、別の個室を用意してあります。これは、フロア全体を基本的に一方通行と考える動線設計です。わざわざ逆行しない限り、通路で患者さん同士が対面する可能性もまずありません。

 

永井院長:このプライバシー性は最もこだわっている点です。当院はすべて自由診療で、健康保険証を出す必要もありません。検査も予約もすべて匿名で、もちろん診察室に入る前にお名前をお呼びすることもなく、すべて番号での管理です。

検査結果もウェブサイトにカルテ番号や検査日を入れるだけで誰にも見られることなく確認できるようにしました。すべて恥ずかしさや不安を感じるシーンを減らして、安心できる環境を整えたいという思いから設計しました。

先ほど電子カルテのお話しが出ました。自由診療向けの電子カルテは選択肢にありませんでしたか。

永井院長:当初から自由診療の電子カルテは難しいかなという話でした。私たちは先ほどもお話ししたように、他の仕組みとの連携にこだわりました。特に重要なのは、検査会社のシステムや自院に検査機器が増えていったときに、検査結果の連携が命綱になると考えました。センシティブな検査結果を誤って伝えるような事態は、最も避けなければならないことです。

しかし、人の手を介している限り、患者数が1000人、10000人と増えていったら、やはりリスクをゼロにはできません。だから検査会社から送られたデータがそのまま電子カルテに反映させられるようなシステムを探しました。それがエムスリーデジカルだったというわけです。

 

矢野事務長:コスト面でもクラウド型が魅力的だったこともありますね。電子カルテは医師にとっての使い勝手も重要だと思うのですが、永井先生は「どんな電子カルテでもこちらは柔軟に対応するから、連携しやすいのを選んでほしい」と言ってくれました。

アポクルも電子カルテも、こちらの希望を目利き医ノ助に伝えたうえで候補を絞り込んでもらって選ぶことができました。全部自分たちでやっていたら、時間的に開業までに間に合わなかったと思います。

まだ開院直後のタイミングですが手応えはいかがでしょうか。

永井院長:おかげさまで開院直後の目標を上回って毎日20名程度の患者さんに来院いただいています。まずは、順調なスタートと言ってよいかなと思います。強いて課題をあげると、現時点は男性の患者さんが7割ほどで、女性にももっと安心して受診いただける工夫が必要だと感じています。

ただ短期間でも、すでに再診の方が着実に増えてきているのは心強く感じている点です。比較的今は時間も取れるので、希望される患者さんには時間をかけてお話しを聞いたり、生活上のアドバイスをしたり心掛けています。また、秘匿性の高い環境で安心してくださっている患者さんもいるのではないかと思っています。

矢野事務長:まずは思い描いたとおりに、システムも院内動線もうまく機能しているので、そこは本当によかったです。それに「自由診療なのに安かった」「検査結果が早くて助かった」などの口コミが来ているのはありがたいことです。ただし、知名度はまだまだ。開院前から、近隣の飲食店などに開院のお知らせはしてきましたが、さらに知名度を高めていかなくてはなりません。

今後に向けた目標をお聞かせください

永井院長:やはり迅速で正確な診断と治療を追求したいと思います。現状のシステムでもHIVや梅毒など、その日のうちに結果がわかる体制が確立できていますが、診療ニーズを見極めながら院内での検査メニューも増やしたいですね。

それから多くの方に気軽な受診を促すことです。性感染症に悩む方を1人でも減らしたいし、放置することで不妊などの事態につながることは避けたい。医療面の充実とともに、スタッフ教育にも力を入れて、身近に頼っていただける存在になりたいと決意しています。

クリニック名 性感染症内科ペアライフクリニック
院長 永井 良先生
所在地 神奈川県横浜市西区南幸2-8-9ブライト横浜ビル401
医院紹介 2024年5月、横浜駅からほど近い繁華なエリアを選んで開業した。プライバシー保護のために患者さん同士が顔を合わせない動線設計にこだわり、待合はすべて完全個室とした。匿名で検査が受けられるなど、気軽に受診できる環境づくりに力を入れている。
作成日 2024年5月