川崎七福診療所(前編)

院長 大黒 学 先生/事務長 中川 英治 様

内科

移転とともに新型PACSを導入し、より質の高い医療を効率よく提供できる体制へ進化(前編)

外来患者数/日 平均70人(ほか在宅診療の患者数/日:平均30人)

スタッフ数 40人(非常勤医師・在宅診療専門スタッフを含む)

導入製品

  • PACS:PIXTERA「SoliPACS Lite」
  • 電子カルテ:NTTエレクトロニクステクノ「モバカルネット」
  • Web予約システム:メディ・ウェブ「3Bees」
  • POSレジ:ティーエスアイ「スマレジ for medical」

課題

  • これまでのPACSは各種医療機器と連携しておらず不便
  • 在宅診療の現場には院内から画像を持ち出せなかった
  • 1つの診察室でしか閲覧できず非効率だった

効果

  • 大画面、高画質な説明による医療の質の向上
  • スピーディな画像の読み出しで患者さんの待ち時間を短縮化
  • 1つの診察室でしか閲覧できず非効率だった
  • 訪問診療の画面でも、検査画像にアクセスできるように

川崎七福診療所は、現在の場所に移転したばかりなのですね。

大黒先生:今年(2022年)4月に現在の場所に移転しました。もとは1kmほど離れた場所にあるビルの4階だったのですが、手狭になっていたのでどこかいい場所がないかずっと探していました。ご縁があって、現在の大型ホームセンターの2階に移ったという経緯です。

移転にあたってPACSの更新を決断されたのは医療の質を向上させたいという想いがあったそうですね。

大黒先生:前からさまざまな課題を抱えていたので、移転がちょうどよい機会だと考えて最新のシステムに入れ替えようと決断しました。

困っていた具体例を挙げると、
● 複数の診察室で同時に使えなかったので患者さんが多いときに不便
● 画質が低く、患者さんに説明するのが困難
● 内視鏡検査などは外部メモリに取り込んで毎回抜き差しする必要があった
などがあります。
かねてから、このシステムのままでは効率が悪いからなんとかしたいと、中川事務長とも繰り返し相談していたんです。

どのシステムを選ぶのが最適かを、院長と事務長でかなり検討を重ねたのでしょうか。

大黒先生:PACSをよいものに変えたいというのは、移転の話が持ち上がる前からの課題でした。しかし、これまでも複数のメーカーから提案を受けていたのですが、なかなか納得できるものが見つからなかったのです。今回、移転するにあたって、このタイミングを逃したくなかったので、最優先で取り組みました。

PIXTERA社の「SoliPACS Lite」を選定したポイントはなんだったのでしょうか。

中川事務長:検討したポイントは大きく分けて2点あります。一つめは院長が実現したい診療のレベルに到達できるかどうかです。導入後の手ごたえは後ほど院長に説明していただきますが、導入前のデモを試しても、レベルや使いやすさという点では問題ありませんでした。

もう一つは、院内でデータを保有できるシステムにこだわりました。画像データはとても容量が大きいため、クラウド型で従量課金ですと、どんどん負担が増していく計算になります。大手の製品はいくつもありますが、いずれも大事な画像情報を院外のサーバーに預ける方式でした。

本来は電子カルテ、電子マネーなど「電子化できるものは電子化すべき」という考えなのですが、古くて使われない画像データがクラウド上に蓄積されていくのは容量の無駄も多く経営を圧迫する恐れもあります。また、何かトラブルがあった際に「画像データだけは自前サーバーに置いておき、すぐアクセスできるようにしたい」と考えたこともPIXTERAを選んだ要因でした。

大黒院長にお聞きしますが、新システムによって診療はどう変わりましたか。

大黒院長:運用面でいえば、順調に稼働しており「ノーストレス」の一言です。
患者さんに説明するまでのスピードが飛躍的に向上しました。システムですべて繋がっているので、検査が終わると画像が速やかにダウンロードできます。以前はCD-ROMやUSBメモリの抜き差しが多かったので、手間も時間も削減できています。

それに大きな画面で高画質で説明できるというのも大きいですね。患者さんも視覚的にわかりやすいので、以前よりも説明した内容が正しく伝わっているという手応えを得られるようになりました。画像診断の環境に関していいますと、大病院と比べてなんら遜色のないレベルだといっていいと思います。

システムを切り替えてまだ半年ですが、相当メリットを実感できているのですね。

大黒院長:これから年月が経つと、さらにメリットが増えるだろうと予測しています。というのも、レントゲンや超音波、内視鏡検査は定期的に行っていくものです。何年間か継続して通院する患者さんは、前年、さらにその前の画像と簡単に比較できるため変化が一目で分かるようになるでしょう。「診療の質の向上」を実感できるのは、むしろこれからかもしれないんです。

システムの切り替え自体もスムーズでしたし、誰でも操作しやすいので非常勤のドクターが来た際もトラブルはなかったですね。移転直後は業者さんが付きっきりで見てくれたのも心強かったです。

移転前と比べ患者数が増えつつあるのは信頼の証といえるのではありませんか。

大黒院長:率直に言えば、移転は断腸の思いでした。というのも現在の場所は以前の医院から1kmほど離れているため、当時のかかりつけの患者さんは何割か通院できなくなってしまったからなんです。もちろん、おひとりずつ新たなクリニックを紹介しましたが、寂しい気持ちや申し訳ない思いもあります。今は商業施設の中というやや特殊な環境になったので、お越しになる患者さんの層はファミリー層が増えました。患者さんの平均年齢が低下した印象です。

訪問診療も積極的に取り組んでいらっしゃいますね。

大黒院長:以前は院外では画像を見られなかったので、訪問診療の際にも画像にすばやくアクセスできるようになったのは医療の質向上につながっているでしょう。10年前にクリニックを開設した当初、今ほど訪問診療が盛んではなかった頃から、地域の高齢者など通院できなかった人の役に立ちたいと、いち早くターミナルケアや看取りも行ってきました。

これからも地域のニーズに応える医療を提供していくことが私たちの役目だと思っています。

クリニック名 医療法人社団招福会川崎七福診療所
院長 大黒 学 先生
所在地 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目3−1ホームセンターコーナン川崎小田栄店2階
医院紹介 JR小田栄駅からほど近い大型ホームセンターの2階に、できたばかりの川崎七福診療所があります。七福は、大黒院長の氏名が七福神のひとりである「大黒様」と一致していることに由来します。ロゴには7つの星があしらわれていて、5つ星ホテル以上のサービス提供を目指すという決意が込められたものです。
作成日 2022年11月