仲宿つくも耳鼻咽喉科・矯正歯科(後編)

院長 渡邉 格先生

耳鼻咽喉科

適切なシステム導入と小さな工夫を積み重ねる。効率と満足度のあくなき追求

外来患者数/日 90名

スタッフ数 6名

導入製品

  • 電子カルテ:WEMEX「Medicom Hybrid Cloud」
  • 予約システム:GMO医療予約技術研究所「メディカル革命」
  • 問診システム:GMO医療予約技術研究所「メディカル革命」
  • 精算機:ビジコム「BCPOS」

課題

  • 診療効率を追求しながらも、同時に患者満足度の維持・向上にもこだわりたかった
  • 時間帯予約制は患者数の上限や時間管理などのリスクはあったが、どうにか軌道に乗せて患者さんの待ち時間を減らしたい
  • 開業初期はとくに患者さんの口コミの内容がその後の集患に影響すると考えていた

効果

  • カルテクラークの導入や画像を使った説明などで、効率と患者満足度の両立を実現
  • クリニックの実態にあわせた工夫により時間帯予約制の運用を行う
  • 口コミへの丁寧な対応と徹底したスタッフ教育で、安定した集患に成功している

仲宿つくも耳鼻咽喉科・矯正歯科では、2024年5月の開業から6か月の時点で1日平均90名の患者が来院、初診率も40%と高い割合を誇るなど、スタートダッシュに成功しています。その要因として、渡邉院長が開業前から明確なビジョンを掲げ、最新のITシステムを駆使するなど効率的な診療体制を構築したことがあげられます。

前編では、主にシステム選定のポイントや物件選びの工夫など、開業準備の具体的な取り組みについてお話をお聞きしました。後編では、開業後の気づきやその後の工夫、患者満足度向上のための取り組みについて、さらに詳しくお話しいただきます。

順番予約ではなく時間帯予約は大変な部分もあったかと思います。いかがでしたか

渡邉院長:たしかに患者数の多い耳鼻科で時間帯予約制を導入するのはチャレンジングな面はあります。しかし、患者さんの利便性を考えると、やはり順番予約よりも時間帯予約のほうがメリットが大きいと判断しました。1日200人以上が受診するクリニックで、時間帯予約で成功しているケースも知っていましたので、ぜひ挑戦したいと思いました。

現在は15分ごとの時間枠で、最大6人の予約を受け付けています。初診2人、再診3人、舌下免疫療法やCPAP通院など時間のかからない方の枠が1人という構成です。この枠組みは、開業初期は初診の枠が多めで、少しずつ再診の割合を増やしていくなど、クリニックの状況に応じて柔軟に調整するのが大切かなと思います。

効率のよい診療体制を継続するために工夫されていることはありますか

渡邉院長:まず初診の方には保険証の事前登録を必須とし、WEB問診の情報も受診前に電子カルテへ転記しています。これにより、来院後すぐに診察に入れるようになりました。また、カルテクラーク(シュライバー)がいるおかげで、診察終了後のカルテ入力の時間をほぼなくすことができ、診療中も常に患者さんの方を向いて診察できています。紹介状の作成では、自分で入力する場面もありますが、多数のテンプレートを用意しておき、音声入力も併用することで時短につなげています。

予約を取らないで来院する患者さんへの対応はいかがですか

渡邉院長:直接来院される患者さんには予約の空いている先の時間帯を優先的にご案内し、院内で待つので見てほしいという方には5人までは院内で待っていただくようにしています。時間帯予約の直来の扱いは他の医院に聞いても仕組みが難しく、受付などが状況を見て調整しているケースが多い印象です。この辺りもできれば属人化しないで一定のルールのもと、判断できるようにしたいところです。

順番予約ならこのような複雑な時間管理は不要ですが、やはり患者さんの待ち時間削減と満足度向上を追求したいと思っています。診療が定時できっちり終わればスタッフの時間外労働も増えないので、働きやすさという点でもメリットがありますからね。

効率重視だけでなく満足度の向上にも取り組んでいるそうですね

渡邉院長:診療効率化だけでなく、満足度をアップさせたいと常に意識してきました。診療面では、患者さんにモニターで患部の画像を見ていただきながら、模式図なども使って丁寧に説明しています。

抗原検査の検査結果と注意事項やアレルギー検査結果の見方、鼻うがいの仕方や声帯炎の声の衛生指導など医師以外でもできる説明は積極的に委譲しています。私は医師にしかできない診察と診断、治療方針の決定に集中することで診療の効率化を行いつつ、説明はスタッフに委譲することで満足度を下げないように心がけています。

発熱外来のニーズに応えるため、診察室から処置室を通って隔離室まで最短距離で移動できるように動線を工夫しました。隔離室では医師がピンマイクを着用して、離れた診察室にいるスタッフが会話を聞き取ってカルテ入力します。これは感染対策にも有効な対策だと思っています。

そうした診療が高評価につながっているのではないでしょうか

渡邉院長:そうだと嬉しいですね。おかげさまで、よい口コミを書いていただくことが増えています。当院のターゲットであるファミリー層や若い患者さんには、Googleの口コミは大きな影響を与えます。特に開業当初は1件の口コミの影響が大きいので、初診の方には口コミの促進チラシをお渡ししたり、仮にネガティブな内容だったとしても必ずお礼を添えて返信したりしてきました。

一般的には診療内容と同様に、スタッフの接遇についての口コミが多く投稿されるので、スタッフ教育にも力を入れてきました。思いやりや感謝といった当院の価値観(バリュー)を定めて、「患者さんや同僚に対して冷たい態度、無礼な態度を取ることは許されない」と採用のときはもちろん、朝礼や院内の研修でも繰り返し伝えています。

今後の課題や展望をお聞かせください

渡邉院長:常に社会環境や患者さんのニーズに対応して進化していかなくてはならないと思います。たとえば、保険証が廃止されマイナンバーカードでのオンライン資格確認に移行すると、現在行っている来院前のWEB問診転記、事前のカルテ作成ができなくなるかもしれません。

電子処方せんでペーパーレスも推進したいのですが、対応する薬局が増えるまでは紙の処方せんの併用も必要です。この辺りも普及状況と患者さんの対応を見極めながら、便利で効率よい診療を追求していきたいと思っています。

クリニック名 仲宿つくも耳鼻咽喉科・矯正歯科
院長 渡邉 格先生
所在地 東京都板橋区仲宿63-5メディカルスクエア板橋区役所前3階
医院紹介 2024年5月開業。旧中山道の最初の宿場町として栄えた仲宿の歴史ある商店街の一角、医療モールに誕生したクリニック。矯正歯科を併設し、マウスピースやCPAPなどもワンストップで検査から治療まで対応する。
作成日 2024年10月