導入製品
課題
効果
仲宿つくも耳鼻咽喉科・矯正歯科では、2024年5月の開業から6か月の時点で1日平均90名の患者が来院、初診率も40%と高い割合を誇るなど、スタートダッシュに成功しています。その要因として、渡邉院長が開業前から明確なビジョンを掲げ、最新のITシステムを駆使するなど効率的な診療体制を構築したことがあげられます。
開業までの道のりや成功の秘訣などお聞きした内容を全2回にわたってお届けします。前編では、主にシステム選定のポイントや物件選びの工夫など、開業準備の具体的な悩みや工夫について渡邉院長にくわしくお聞きしました。
渡邉院長:開業当初は初診率は高いのは当然だと思いますが、半年経過した今も安定して集患出来ており、まずまず順調な滑り出しができたと思っています。当院は女性が7割で、お子さんと20~40代の女性が多いことが特徴となっています。ネット予約の割合やLINEに登録いただいている割合も約80%に達しており、LINE公式アカウントの登録者数は2500人に到達しました。DXによる効率化が一定の効果をあげていると考えています。
渡邉院長:約10年、大学病院の耳鼻咽喉科で勤務した後、長男の誕生を機に開業を考え始めました。直前は都内のクリニックで院長として勤務していましたが次男の誕生を機に育児参加しながら開業の準備を進めてきたんです。
開業準備で最も苦労したのは、物件選びでしたね。当初は「条件」ありき、つまり都心から通勤1時間圏内、1km以内には競合のクリニックがなく、3万人の人口が住んでいることといった条件だけで探していたんです。開業コンサルには20社以上に声をかけて依頼しましたし、自らも関東厚生局で閉院の情報を調べたり、SNSでも「耳鼻科 閉院」と検索したりしていました。
渡邉院長:そうですね。コンセプトや経営理念を定めないまま探してもうまくいかないのではないかと考えて、後回しにしていた「なぜ開業するのか」コンセプトを固めることにしました。
子どもと親、働く30~40代の女性をメインターゲットに設定して、「お待たせしない診療」「納得のいく診療」「親切な診療」という3つを目指す姿として掲げることに決めました。このことが後々、時間帯予約制をはじめ、積極的にDXでスムーズな診療を目指す原点にもなっています。
ちょうどこの頃、現在の医療モールの紹介を受けましたが、1km圏内には6件もの耳鼻科がすでにあり診療圏調査の結果としてはよくなかったのです。しかし、よく調べるとホームページをしっかり作っている医院はわずかで、私たちが目指すようなDX型クリニックはありませんでした。さらにターゲットの方たちは、近隣に多いこともわかり、ここなら集患できるはずだと決心できました。コンセプトを決めていたからこそ「自分にとってはよい条件」だと思える物件に出会える可能性を高められたと思っています。
渡邉院長:まずは電子カルテですが、Medicomのハイブリッド型を選びました。はじめに時間帯予約制の運用、そしてお待たせしない医療を掲げていましたので、診療スピードの向上を第一に考えました。耳鼻科は、ほぼすべて保険診療で診療単価も低いため、収益を得るためにも診療の効率化は欠かせません。1つの画面で1クリックでセットを展開できる操作性を気に入っていますが、これを実現できるのはオンプレミス型だけだったというのが大きいですね。知り合いから聞いたところでは、安定性もオンプレのほうが上だということで、わずかな時間でも電子カルテの不具合で診療が止まるような事態は絶対に避けたいと考えました。
一方、クラウドの魅力は端末の増設やリモートからもアクセスしやすい点などです。これは訪問診療や分院展開を考えるような場面では、大きなメリットかなと思います。しかし当院では、多くのセットを組んでおける利便性、電子カルテへの入力を行うカルテクラーク(シュライバー)の効率の優先度がより高いと考えました。
渡邉院長:時間帯予約の運用のしやすさ、初めて利用する患者さんが情報登録の前に、まず空き状況が確認できるシステムにしたいというこだわりはありました。
また画像登録の機能があるので、予約時に保険証の情報を先にアップロードしてもらうと、来院時に受付業務の時間短縮にもなります。予約システムは、LINEと連携するとはいっても、予約サイトに飛ばす機能しかついてないものもありますが「メディカル革命」はLINEの画面内で登録が完結できます。この利便性の高さも魅力でした。
Web問診は、機能的により優れたシステムもありましたが、予約システムに付随している機能でも十分かなと今のところは考えています。選択肢によって分岐できる、同意書など画像が添付できる、サイン機能があるなどの機能は必要だと考えました。これは比較的多くのシステムで実現可能だと思います。
セミセルフレジでは、患者さんの見るモニターの表示内容と、当院スタッフが使用するモニターは連動しているため、高齢の患者さんの操作をサポートしやすくなっています。また、キャッシュレス決済端末とも連動し、高額紙幣を取り扱える機種を選びました。これは知り合いのクリニックから聞いた「千円札しか使えないと不便」との声を活かしたものです。
渡邉院長:これも開業コンセプトをしっかり固めた影響です。自分がどんな診療をしたいのか、どんな患者さんをターゲットにするのかを明確にすることが大切です。
自然にシステム選定の際にも「何を重視するのか」説明しやすくなると思います。ただ、本当に適切なシステムを選べるかは別問題ですね。現在のように選択肢が数多くある中では、目利き医ノ助のような専門家への質問、相談は非常に有益だと思います。
選んだシステムには基本的に満足していますが、やってみて初めてわかった欠点もあります。とはいえ、これをプロの手助けなく選ぶのは不可能だったと思います。話を聞いてもらうだけでも、自分の考えがまとまるのもありがたい気づきでした。
※後編では、開業後の運営で気づいたことや、さらなる効率化のための工夫、今後の展望などについてお聞きします。
クリニック名 | 仲宿つくも耳鼻咽喉科・矯正歯科 |
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院長 | 渡邉 格先生 |
所在地 | 東京都板橋区仲宿63-5メディカルスクエア板橋区役所前3階 |
医院紹介 | 2024年5月開業。旧中山道の最初の宿場町として栄えた仲宿の歴史ある商店街の一角、医療モールに誕生したクリニック。矯正歯科を併設し、マウスピースやCPAPなどもワンストップで検査から治療まで対応する。 |
作成日 | 2024年10月 |