医療法人社団慈京会 五十子クリニック

院長 五十子 大雅先生

循環器科
内科

診療も、システムも、要にあるのは「人」。たった1日で自動精算機を入れ替えた理由。

外来患者数/日 平均110人

スタッフ数 11人

導入製品

  • 電子カルテ:EMシステムズ「MRN」
  • Web予約システム:EPARK「受付予約システム」
  • 自動精算機:カワニシバークメド「テマサックPro」

課題

  • 父から承継したクリニックで電子化の必要があった
  • 電子カルテの入替後にサポートが十分でないと感じた
  • 最初に導入した自動精算機の機能が不十分で締め作業の効率が悪かった

効果

  • 全人的で丁寧な医療を行いながらも予約から受診、会計まで効率的な医療を実現し、毎日平均100名以上の患者さんが来院
  • 自動精算機の入替後は、業務効率化の効果を実感できている。日々の締め作業にかかる手間を大幅に軽減できた
  • お金や機能も大切だが、サポートしてくれる人によって満足度が異なることを実感。試行錯誤の末、安定的なオペレーションを構築できた

お父様から承継をされたのが約20年前ですね。今も変わらず尊敬されているとお聞きしました。

五十子院長:2004年に承継したので、もうすぐ20年になりますね。勉強熱心で、小さいクリニックながらも誇りをもって診療にあたっている父の背中を、子どもの頃から見てきましたので、いつかは承継したいという思いがありました。ただ残念ながら想定より早く父が他界したため、平日は勤め先の京都大学病院で働き、週末だけ「五十子クリニック」で診療するというハードな状態だったんです。

「父の想いを継ぎたい、途絶えさせてはならない」という私の意志は強かったものの、私が病院を退職するまでは週末しか開けられないクリニックでしたから、当時は父の患者さんも少しずつ離れてしまっていました。

五十子先生は早い時期から情報発信にも取り組んだそうですね。集患したいというお考えからでしょうか。

五十子院長:15年ほど前から甲状腺や糖尿病など自分の専門疾患に関する記事をずいぶん多く書きました。集患の目的もありますが、患者さんに役立つ情報を届けることが大事だとホームページの制作会社からアドバイスを受けて始めたものです。

父が院長のときは決して広告を行いませんでした。「いいものは自然に知られていく」というプライドをもっていたのだと思いますが、私は「知られなければ意味がない」と考え、積極的に情報を発信していく道を選んだんです。実はいまでもパソコンやITは苦手分野なのですが…早くから取り組んだことで、患者さんや周りの医療機関の先生方からも信頼していただけるようになったかもしれません。

「ITが苦手」ということは電子カルテやさまざまなシステムの導入には苦労されましたか。

五十子院長:私が苦労したというよりスタッフに負担をかけてしまいましたね。先代のときから残っている多くの紙カルテの情報を、全部スキャンして保存したんですよ。私が長年お世話になっている伊藤病院(※東京・原宿にある甲状腺疾患の専門病院として名高い)の真似をしましてね。本来はカルテの保存義務は5年ですが、伊藤病院では30年ぐらい前のカルテ情報も全部マイクロチップへ保存を始めていました。保存作業を目の当たりにしたとき、患者さんのことを第一に考えたすばらしい行動だと思ったんです。

ただ、その後数年で、当院は電子カルテの入れ替えも経験しています。導入時にお世話になった担当者がよくサポートしてくれたので、その方が数年後に転職した先のカルテにわざわざ乗り換えたんです。ご想像のとおり、システムの入れ替えというのは大変なことでしたが、乗り換えた後は、満足なサポートをしてもらえず非常に残念な思いをしました。システムの中身も大事ですが、やはり顧客目線のサポートがどのくらい得られるか。かといって、担当者との人間関係だけでもダメですね。機能、価格そしてサポートとトータルで評価、判断しなくてはならないと学びました。

自動精算機は現在の機種に満足されていますか。すんなり選ぶことができたのでしょうか。

五十子院長:はい、導入してから1年弱ですが、事務スタッフや患者さんからの評価はよいです。しかし、ここに至るまでが大変でした。もともと精算機の導入を決めたのは、スタッフの働きやすさを追求するためです。現金でのやりとりにはミスがつきものですが、ペナルティなんてもってのほかですし、ミスをスタッフの責任にしたくはありません。自動化によって、気持ちよく働ける環境を作りたかったのです。

実は当初、別の精算機メーカーを契約しましたが、わずか1日で解約した経緯があります。他社と比べて費用がそこまで高くないから、またシンプルな構造の機械がよいと思って選びましたが、これが失敗でした。この精算機は「非循環型」といって入金された紙幣・硬貨がお釣りに使われることのない仕組みでした。診察が終わり、ふと事務室の様子をみると締め作業でスタッフが複数人で1時間以上も悪戦苦闘していたんです。聞いてみると、精算機から現金を取り出すときに種類の違う硬貨が混ざってしまうために、まず手で選り分けないことには集計作業さえできません。

それであわてて精算機の入れ替えを決断されたのですね。費用としては余計にかかってしまったかと思います。

五十子院長:その夜は「何のための精算機なのか」と、愕然としたものです。すぐに解約し、現在のテマサックProを導入したいとメーカーに再度依頼し直しました。正直に言えば、最初に購入した機械との価格差はありました。ただ、機能面ではトラブルはほぼ皆無ですし、何よりもサポートに満足しています。よい機械、よいシステムという前提に加えて、担当者が丁寧で対応にも心がこもっていると感じられると、選んでよかったなと思えますね。よく気にかけてくれるし、スタッフが操作を質問したときの対応も早くて正確です。

僕は、買い物をするときでも決断が早いですが、このときばかりはもうちょっといろんな専門家の意見を聞けばよかったかもしれません(苦笑) ただ何事も勉強ですよ。

承継し育ててきたクリニック、これからはどのような姿を目指しますか。

五十子院長:個人的な思いとしては父から受け継いだクリニックを、次世代にも残していきたいと思っています。まだ高校生ですが、上の子どもが「後を継ぎたい」ということを言ってくれています。承継直後に、患者さんがまったくいらっしゃらなかった頃を今も思い出しますが、誰にも頼られないということは本当にやるせないことです。おかげさまで今は忙しくさせていただいていますが、心の底から「ありがたいことだ」とスタッフとも話しています。そんな思いもつないでいきたいですね。

病気になってから頼るというよりは、健康になるためのクリニック。地域のみなさんが楽しく生活し続けていくために、迷ったときに相談できるクリニック。そんな存在でありたいと思っています。

クリニック名 五十子クリニック
院長 五十子 大雅先生
所在地 東京都世田谷区経堂5-3-29
医院紹介 五十子院長のお父様が開業したのは1967年。駅から商店街を抜けた世田谷の閑静な住宅街のなかで、地域密着の診療を続けてきました。院長は甲状腺や糖尿病の専門医に加え、総合内科専門医の資格も取得、全人的な診療を追及しています。